法事法要についての
マナー・豆知識
法事のQ&A
法事法要とは?
法事とは、簡単に言うと先祖供養の行事全般の事です。
「法要」とはご住職の読経からの儀式のことを言い、法要を含めた会食の場などをひとくくりにして「法事」という表現をするのが一般的です。
法事は先祖供養の行事であるとともに、懐かしい親戚などとの繋がりを感じる大切な日本の文化です。
法要はいつまで続く?
お葬儀後の法要は、初七日、二七日、三七日・・・・七七日(四十九日)と続き、百か日、初盆(新盆)、一周忌、三回忌、七回忌・・・・五十回忌となり、この五十回忌で弔い上げとなります。
地域や宗派によっては、三十三回忌を弔い上げとすることもあり様々です。
四十九日以降の法要は、古来より三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌・・・と、「三」と「七」の付くタイミングで執り行われることが一般的です。
法事の日程は、ずらしていいの?
法事の日程は、前倒しであれば問題ありません。
仕事上の都合や参列者の事も考えて、土日にずらして法事を執り行う事もあります。
命日をもとに予め決まっているご法事を前倒しで土日などにするのは問題ありませんが、予定を遅らせて後回しで法事をするのはNGです。
ただし、お寺によっては、日にちをずらすこと自体NGのお寺があるのも事実です。
日程をずらす場合は、早めにお寺に相談するようにしましょう。
法事が重なった場合は、まとめてしてもいいの?
一般的に、七回忌以降のご法事の場合で、近いタイミングで数名の法事を控えている場合は、まとめて法事を執り行う事があります。
たとえば、祖父13回忌と祖母7回忌をまとめて同日に執り行うなど。
まとめて同日に法事を計画する場合は、ご自身の判断ではなく必ずお寺にその旨相談するようにしましょう。
考え方はお寺で様々ですので、判断はお寺へ任せましょう。
四十九日?忌明け?満中陰?
四十九日は地域により様々な表現をします。
「忌明け」「七七日忌」「満中陰」「四十九日」などなど。
地域それぞれの昔からの言い伝えの中で、地域ごとに表現の違いがあり親族の法要に参列した際などに戸惑うこともあるかもしれませんが、同じ法要を意味しています。
一周忌?一回忌じゃないの?
四十九日や初盆の次は、ご命日から一年後の「一周忌」法要となります。
それ以降の法要は「三回忌」「七回忌」などの○○回忌という表現をします。
実は、葬儀自体が「一回忌」とされているため、本来「二回忌」の法要をご命日から丸一年一周回った「一周忌」と表現するようになったのが根源です。
二年目なのに三回忌?
仏事の法要はご命日から丸一年目に「一周忌」、丸二年目に「三回忌」を執り行います。
亡くなった時を「1」とすることから、葬儀のことを「一回忌」丸一年目を「二回忌(一周忌)」、丸二年目が「三回忌」となります。
ただ、現状は葬儀を「一回忌」と表現する事はないですし、一周忌を「二回忌」ということもありません。
実質、二回忌を一般的に「一周忌」と表現することから、頭が混乱することがあるのかもしれません。
法事の準備に関するQ&A
法事にお声かけする範囲は?
一般的には故人と付き合いの深かった親戚が多いようです。
明確に何親等までという決まりはありませんので、それぞれのご家庭でお声かけの範囲は違うのが現実です。
「遠方なので声をかけづらい・・・」「毎回呼ぶのは悪いかな・・・」などなど、気遣いはもちろん大切ですが、法事でしか顔を会わせない親戚などがいらっしゃる場合は、極力お声掛けをし、親戚間の繋がりを大切にしたいものです。
案内ハガキは必要?
法事の日時と場所が決まったら、早めに案内ハガキを出す事をおすすめします。
電話や口頭での連絡では、四日(よっか)八日(ようか)、13時と午後3時などの勘違いや聞き間違いなどが起こる可能性があります。
参列者側としても、何度も確認するよりも形で残る案内ハガキがあれば再確認する手間も省けますのでお互い安心感があります。
法事法要の参列者にご高齢の方がいらっしゃる場合は、気遣いの一つとしてハガキでのお知らせがより安心です。
数十年前は、「仏事の案内は駆けつけるのが当たり前」という考えで返信を求めない一方通行のハガキが一般的でした。
しかし、現状は生活環境や考え方も変わり、相手を気遣うためにも往復はがきを利用する方も増えているようです。
往復ハガキにしておくと期日までに、出欠がとれるので段取りもスムーズになるでしょう。
案内ハガキはいつまでに出す?
四十九日の場合は、法要の3週間前程度、一周忌や三回忌などの年回忌の場合は法要の1か月半程度前には案内ハガキを出しておくと安心です。
ギリギリでの発送は、相手にも失礼になりますし法事の段取りも進みづらくなりますので、なるべく早めの発送を心がけましょう。
読経の際の席順に決まりはあるの?
読経の際は、施主はご住職の後ろへ座り、故人との関係が深い人ほど前列に座るようにします。
会食の際の席順に決まりはあるの?
参列者の席順は目上の方や、遠方の方、故人と親しかった方はなるべく上座へ座っていただきます。
喪主と、その親族は末席に座るのが一般的です。
ご住職が会食に同席される場合は、ご住職に一番上座に座っていただくのが一般的です。
上座
部屋の奥、床の間の前、掛け軸の前、ご自宅の場合は仏壇の前、その部屋の全体を−望できる位置が上座となります。
下座
その部屋の入口付近が下座となります。
お布施以外に必要な準備は?
お布施と合わせて準備するのは、「御膳料」「お車代」が一般的です。
ご住職が会食に同席される場合は「御膳料」は必要ありません。
一般的な目安として、
「御膳料」¥5,000〜¥10,000程度
「お車代」¥5,000程度です。
地域や、ご住職の移動距離よっても異なりますので、あくまで参考程度で解釈して下さい。
法事の返礼品に関するQ&A
法事に適した返礼品は?
返礼品は法事の後に持ち帰る場合がほとんどです。
参列者の負担も考えて、軽量の物やたくさんあっても困らない実用品がおすすめです。
また、大きい箱の商品などかさばるような品物は避けた方が良さそうです。
香典返しなど郵送するものは、そこまで神経質になる必要はありません。
熨斗(のし)とは?
現代では、水引という結び目を印刷した紙を熨斗(のし)紙と言います。
仏事の熨斗(のし)紙には、結び切りという水引が印刷されています。
結び切りの水引には、「一度結んだらほどけない」「一度きりにしたい」という思いがあり、主に仏事に使われています。
熨斗(のし)には何と書く?
熨斗(のし)の表書きは、法事の行事により様々です。
一周忌の場合は「一周忌/○○」
三回忌の場合は「三回忌/○○」
七回忌の場合は「七回忌/○○」といった形です。
※○○には名字または○○家
四十九日の場合は地域性があり「忌明け」「七七日忌」「満中陰」などなどが熨斗書きとして使われています。
地域性が分からない場合は、どのタイミングの法事でも仏事の全国共通ののし書きとしては、「志」が使われています。
熨斗の下には、名字または、○○家と書くのが一般的です。
熨斗書きは薄墨?濃い墨?
参列者側のご準備となる香典袋には、一般的に薄墨を用います。
仏事における薄墨には、
「悲しみの涙で隅が薄まった・・・」
「墨をする間もなく駆けつけた・・」などの意味合いがあります。
その流れの中で、仏事において薄墨が使われるようになった背景があり、現在では返礼品の熨斗(のし)書きにも薄墨が一般的となっております。
内のし?外のし?
法事でお渡しする返礼品には、熨斗(のし)をかけるのが一般的です。
熨斗(のし)かけの種類として、
外熨斗(そとのし)「お品⇒包装⇒熨斗(のし)」
内熨斗(うちのし)「お品⇒熨斗(のし)⇒包装」
の2種類があります。
どちらが良いという事はありませんが、一般的に仏事の返礼品には、内熨斗(のし)が使われています。
参列者側がお持ちするお供えものなどに熨斗(のし)をかける場合は、誰からのお供え物なのかがわかりやすいよう外熨斗(のし)にする場合があります。
返礼品には、お礼状(挨拶状)をそえる必要がある?
法事でお返しする返礼品には、お礼状を添える場合と添える必要がない場合があります。
・お礼状を添える場合
一般的に直接手渡しでお品を渡せない場合はお礼状を添える事があります。
香典返しなど、主に郵送する商品にはお礼状を添えます。
・お礼状を添えない場合
法事にご参列いただき、帰りに手渡しする返礼品は、お渡しする際にお礼の「言葉」を添えますのでお礼状を入れる必要はありません。
お礼状(挨拶状)には、なにが書いてあるの?
一般的には、滞りなく法要が終わったことを報告する内容と、ご香典やお供え物などのお気遣いに対する感謝の言葉が書かれています。
法事の挨拶に関するQ&A
法要(読経)の前のはじまりの挨拶は?
「本日は、ご多用中のところお集まりいただきましてありがとうございます。
これより〇〇〇(戒名/法名/俗名など)の○○回忌をはじめさせていただきます。
それでは、ご住職よろしくお願い致します。」
このようにシンプルに挨拶します。
法要(読経)後の挨拶は?
「本日は、ご多用のところ○○の〇回忌にご参列いただき誠にありがとうございました。
生前親しくしていただいた皆様にお参りいただき、故人もさぞ喜んでいることと思います。
これからも変わらぬご支援の程よろしくお願い申し上げます。
(会食がある場合)
ささやかではございますが、これより○○にてお膳の準備をさせていただきましたので、お時間の許す限りゆっくりおくつろぎ下さいますようお願い申し上げます。
本日は、誠にありがとうござました。」
会食前の挨拶と献杯の流れは?
「本日は、ご多用のところ○○の〇回忌にご参列いただき誠にありがとうございました。」
本日のお礼を一言添えたあとに、
施主 「それでは献杯(けんぱい)のご唱和を致します。」
施主 「献杯」
一同 「献杯」
といった流れとなります。
献杯の唱和は、ご住職へ任せてもいいでしょう。
※浄土真宗では「いただきます」の唱和が一般的です。
献杯?乾杯?いただきます?
「献杯(けんぱい)」は浄土真宗以外で使われる唱和です。
浄土真宗は、「いただきます」という唱和を行います。
乾杯という表現は基本的には使いませんのでご注意ください。
不安な場合は、「献杯(けんぱい)」もしくは「いただきますの」の唱和をご住職へお願いしましょう。
会食の締めの挨拶は?
「本日はお忙しい中最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
そろそろお時間となりました。
どうか、今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願い致します。」
本日は、誠にありがとうございました。」
などのように、簡潔に行いましょう。